実はその痛み、副鼻腔炎が原因かもしれません
虫歯や歯周病などが原因ではないのに歯が痛いケースとして副鼻腔炎が挙げられることをご存知でしょうか?
【副鼻腔炎とは?】
“副鼻腔”は顔の骨の中にある空洞のことをいいます。全部で4つの部位に分かれており、それぞれ名前があります。
1.上顎洞(じょうがくどう)…頬の奥、上の奥歯のすぐ上にある
2.前頭洞(ぜんとうどう)…おでこのあたり
3.篩骨洞(しこつどう)…目と目の間あたり
4.蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)…頭の奥のほう
これらの空洞は、呼吸を助けたり、頭を軽く保ったり、声を共鳴させるなどの働きがあります。この副鼻腔に炎症が起こる病気が「副鼻腔炎」です。
風邪をひいたあとや、アレルギー性鼻炎、花粉症、細菌やウイルスの感染などが原因で、粘膜が腫れたり、膿がたまったりします。
【副鼻腔炎の種類】
▶︎急性副鼻腔炎
風邪のあとに一時的に起こることが多い。
鼻づまり、黄色〜緑っぽい鼻水、顔の痛み、頭重感などがおきる。
数週間で自然に改善することもありますが、悪化すると治療が必要。
▶︎慢性副鼻腔炎(蓄膿症)
3か月以上、症状が続く状態。
鼻の奥に膿がたまりやすく、鼻づまりや匂いがわからない、頭痛などが慢性化したもの。
アレルギー体質や歯の感染が原因のこともある。
▶︎歯性上顎洞炎(しせいじょうがくどうえん)
歯が原因で上顎洞に炎症が波及した状態。
抜歯後や歯の根の感染が原因で、副鼻腔に炎症が及ぶこともある。
通常の副鼻腔炎とは治療方法が異なるため、歯科での診断が重要。
【副鼻腔炎で歯が痛む理由】
それは、副鼻腔と歯の位置関係と神経のつながりが深く関係しています。
上顎洞は、ちょうど上の奥歯のすぐ上に位置していて、人によっては歯の根が上顎洞に突き出していることもあります。
そのため、副鼻腔炎で上顎洞が腫れたり、膿がたまったりすると、歯の神経に圧力がかかって痛みを感じることがあります。
そして顔の感覚は、「三叉神経(さんさしんけい)」という神経によって脳に伝えられます。
この神経は、上顎・歯・副鼻腔・頬など、複数の部位に枝分かれして分布しています。
副鼻腔で炎症が起こると、この神経を通じて歯の痛みとして脳が錯覚することがあります。
これを「関連痛(かんれんつう)」と呼びます。
つまり、実際に歯に問題がなくても、副鼻腔炎があることで「歯が痛い」と感じてしまうのです。
歯科用のレントゲンやCTでは、副鼻腔の状態まで確認できます。
とくに原因がわからない上の奥歯の痛みは、歯だけでなく副鼻腔までチェックすることが重要です。
歯が痛い → 歯に異常なし → 実は副鼻腔炎だった
というケースは、意外と少なくありません。
上の奥歯がズキズキする・重い
噛むと響くような痛みがある
歯の治療をしても痛みが取れない
鼻づまりや黄色い鼻水が続いている
頬のあたりに鈍い痛みや重さがある
風邪のあとから歯が痛くなった
このような症状があるときは、一度歯科と耳鼻科の両方を受診するのがおすすめです。
その他なにか気になること疑問があればいつでもご相談ください!