歯髄壊死(しずいえし)とは?|原因・症状・治療法
「歯髄壊死(しずいえし)」とは、歯の内部にある「歯髄(しずい)」という組織が死んでしまう状態を指します。
歯髄には神経や血管が含まれ、歯に栄養を与えたり、冷たいものや熱いものを感じる役割を果たしています。この歯髄が壊死すると、感覚がなくなったり、感染が広がったりする危険性があります。
歯髄壊死の主な原因
1. 虫歯の進行
虫歯が深く進行すると、細菌が歯髄に到達し、炎症や感染を引き起こします。これが進むと、歯髄が壊死する可能性があります。
2. 外傷(強い衝撃や歯の破折)
転倒や事故、スポーツ中の衝撃などにより、歯が割れたりヒビが入ると、歯髄が損傷し壊死につながることがあります。
3. 歯周病の悪化
歯周病が進行すると、歯の根の周囲の血流が悪化し、最終的に歯髄が栄養不足で壊死することもあります。
歯髄壊死の症状とは?
歯髄壊死は進行状況によって痛みがある場合とない場合があります。
◉ 痛みがあるケース
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歯髄炎:歯髄が炎症を起こすと、神経が圧迫され激しい痛みが出ます。虫歯由来の痛みで最も多く見られます。
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急性歯髄炎:炎症が急激に進行し、特に夜間にズキズキと強い痛みを伴います。
◉ 痛みがないケース
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慢性歯髄壊死:歯髄が完全に壊死すると、神経も死んでしまうため痛みを感じなくなることがあります。ただし、無症状でも感染が進行して膿がたまるリスクがあります。
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進行がゆっくりな場合:壊死が徐々に進むと、本人が気づかないまま進行してしまうケースもあります。
◉ その他の兆候
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歯が黒っぽく変色する
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歯茎が腫れる
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歯茎から膿が出る
歯髄壊死の治療法
1. 根管治療(神経を取り除く治療)
歯髄壊死の一般的な治療法は「根管治療(こんかんちりょう)」です。壊死した歯髄を取り除き、歯の内部を清掃・消毒してから封鎖することで、歯を残すことが可能です。
根管治療の流れ
① 歯の内部を開けて、壊死した歯髄を除去
② 根管を消毒し、感染を防ぐ
③ 根管内を密封し、詰め物や被せ物で修復
2. 抜歯(歯を抜く処置)
根管治療で対応できないほど感染が広がっていたり、歯の根が破壊されている場合は、抜歯が必要になります。抜歯後はブリッジ・インプラント・入れ歯などの選択肢があります。
歯髄壊死を放置するとどうなる?
歯髄壊死を放置すると、感染が顎の骨や全身に広がることもあります。最悪の場合、歯を失うだけでなく、顔の腫れや発熱、重篤な感染症を引き起こす恐れもあります。
特に痛みがないケースでは気づきにくいため、定期的な歯科検診やレントゲン撮影が早期発見・早期治療のカギです。
歯髄壊死を防ぐために大切なこと
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小さな虫歯も放置せず、早めの受診を
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歯をぶつけたときは痛みがなくても歯科で診察を
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歯茎の腫れや歯の変色に気づいたら要注意
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定期検診で異常の早期発見を心がけましょう
「歯髄壊死(しずいえし)」は静かに進行することもあり、気づいたときには重症化していることもあります。大切な歯を守るためにも、違和感を感じたら早めに歯科医院を受診しましょう。